歌舞伎座の幕間に『芸道礼讃』を買いにゆく。


昼の休憩時間の合間に、喜多村緑郎の『藝道礼讃』が今すぐに欲しい! の一念で、木挽堂書店へ。無事に入手できて、歓喜にむせぶ。

 

ついでに、買った絵葉書、《歌舞伎座》。『主婦之友』昭和7年9月号附録。東京劇場の屋上から見た歌舞伎座。


同じく、『主婦之友』昭和7年9月号附録の絵葉書、《東京劇場》。目をこらすと、新派が上演中なのが見てとれて、うっすらと「二筋道」という文字も見える、ハテと思って、柳永二郎『絵番附・新派劇談』(青蛙房、昭和41年11月)巻末の「新派劇略年表」を参照してみたら、この絵葉書は、

7・6・5

東京劇場にて、「或る殺人事件」「お名残二筋道」「月魄」を上場す。二筋道は、6年11月に始まり、7年1月「後篇二筋道」、2月「続二筋道」、3月「二筋道桂子の場合」4月「続々二筋道」と続き、瀬戸英一氏としてはこれで終わりたいとの希望で、6月「お名残二筋道」と題したのだったが、不幸、これが伊井蓉峰のお名残りの舞台となってしまった。即ち、この興行の途中に倒れて休演した。

 と、まさしくこの興行の真っ最中の東劇なのだった。伊井蓉峰、昭和7年8月15日没(62歳)。