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戸板康二ノート

戸板康二とその周辺に関する走り書的覚え書、古本と都市と演劇(執筆:藤田加奈子)

『演劇界』の「家で楽しむ歌舞伎 この一冊」執筆者&書名リスト(2007年9月号~2015年12月号)

書評メモ

『演劇界』が2007年5月号をもっていったん休刊し、新装復刊第1号の2007年9月号(第65巻第6号)から「私のこの一冊」と銘打った読み物がはじまった。これは、「家でたのしむ歌舞伎」という見開きページの右側に書籍の紹介、左側に「テレビ・ラジオ放送ガイド」が設けられ、書籍コーナーに新刊本の紹介とともに、「私のこの一冊」として、月ごとに異なる書き手が思い入れのある本についてのエッセイを寄稿するコーナーで、毎月、新しい号が出るとまっ先にこのページを開いている。と、当初は「私のこの一冊」として異なる書き手が登場するというスタイルであったのが、2013年9月以降は「この一冊」とタイトルを変えて、現時点では、金子健・葛西聖司・阿部さとみ・児玉竜一・広瀬依子の5氏+ゲスト執筆者の計6氏が交替で寄稿するという態勢になっているようである。そして、最新号の11月5日発売の2015年12月号にて、100冊目の本が登場した次第。

明治40年創刊の『演藝画報』の流れをくむ雑誌『演劇界』が、戸板康二が在籍していた日本演劇社が刊行していた第1次(昭和18年11月号・第1年第1号から昭和25年5月号・第8巻第5号まで)、利倉幸一がはじめた第2次(昭和25年11月号・第8巻第6号から2007年5月号・第65巻第5号)を経て、2007年9月号(第65巻第6号)より小学館の傘下に入った演劇出版社が「歌舞伎エンターテインメント誌」と装いを変えて、『演劇界』は第3次として現在刊行中。『演藝画報』100周年の2007年にはじまった第3次の『演劇界』が2015年12月号(第73巻第12号)をもって、祝・通巻100号となったのであった。戸板康二生誕百年となる2015年12月にちょうど100号となった偶然がちょっと嬉しい。

……というわけで、第3次『演劇界』の通巻100号を記念して、2013年7月19日付「旧戸板康二ノート」(http://toita1214.exblog.jp/20523154/)に追加補正して、以下、「家で楽しむ歌舞伎 この一冊」執筆者&登場本リスト。敬称略。


※「家で楽しむ歌舞伎 私のこの一冊」2007年9月号~2013年8月号

  1. 2007年9月号:利根川裕/戸板康二『歌舞伎への招待』(衣裳研究所、昭和25年1月)※2004年1月に岩波現代文庫(解説:山川静夫)
  2. 2007年10月号:山田庄一/『日本戯曲全集 歌舞伎編』全50巻(春陽堂、昭和3年~8年)
  3. 2007年11月号:橋本治/鳥越文蔵〔ほか〕校注・訳『新編 日本古典文学全集77 浄瑠璃集』(小学館、2002年10月)※仮名手本忠臣蔵(長友千代治校注・訳)、双蝶蝶曲輪日記(黒石陽子校注・訳)、妹背山婦女庭訓(林久美子・井上勝志校注・訳)、碁太平記白石噺(大橋正叔校注・訳)
  4. 2007年12月号:関容子/丸谷才一『忠臣蔵とは何か』(講談社、昭和59年10月)※昭和63年2月に講談社文芸文庫(解説:野口武彦)
  5. 2008年1月号:鳥越文藏/歌舞伎評判記研究會編『歌舞伎評判記集成』第1期、全10巻+別巻(岩波書店、昭和47年9月~52年12月)
  6. 2008年2月号:馬場順/邦枝完二『松助芸談 舞台八十年』(大森書房、昭和3年9月)
  7. 2008年3月号:岡野竹時/小泉喜美子『歌舞伎は花ざかり』(駸々堂出版、昭和61年1月)
  8. 2008年4月号:木村隆/渡辺保『歌舞伎手帖』(駸々堂出版、昭和57年7月)※最新版は角川学芸文庫(2012年10月刊行)
  9. 2008年5月号:古井戸秀夫/郡司正勝『おどりの美学』(演劇出版社、昭和32年11月)
  10. 2008年6月号:奈河彰輔/雑誌『演芸画報』全440冊(明治44年1月創刊、昭和18年10月終刊)
  11. 2008年7月号:諏訪春雄/守随憲治・秋葉芳美共編『歌舞伎図説』第1~第12輯(萬葉格、昭和7年12月~昭和8年2月)
  12. 2008年8月号:森西真弓/高谷伸『明治演劇史伝 上方篇』(建設社、昭和19年7月)
  13. 2008年9月号:山川静夫/木村菊太郎『芝居小唄』(演劇出版社、昭和35年11月)※昭和54年11月に改訂増補版
  14. 2008年10月号:津田類/藤間紀子『高麗屋の女房』(毎日新聞社、1997年10月)
  15. 2008年11月号:林京平/小池章太郎『考証江戸歌舞伎』(三樹書房、昭和54年10月)※1997年7月に増補新訂版
  16. 2008年12月号:大笹吉雄/河竹繁俊『日本演劇全史』(岩波書店、昭和34年4月)
  17. 2009年1月号:葛西聖司/戸板康二・吉田千秋共著『カラーブックス72 歌舞伎』(保育社、昭和40年2月)
  18. 2009年2月号:河合眞澄/三代目中村仲蔵著・郡司正勝校註『手前味噌』(青蛙房、昭和44年11月)
  19. 2009年3月号:大岩精二/六代目尾上菊五郎『芸』(改造社、昭和22年10月)
  20. 2009年4月号:福本和生/三宅周太郎『歌舞伎研究』(拓南社、昭和17年12月)
  21. 2009年5月号:鈴木治彦/大木豊『あの舞台この舞台 大劇場閉鎖から東宝カブキまで』(劇評社、昭和30年12月)
  22. 2009年6月号:今井豊茂/飯塚友一郎『歌舞伎細見』(第一書房、大正15年10月)※昭和2年12月に増補改版
  23. 2009年7月号:権藤芳一/服部幸雄『絵で読む歌舞伎の歴史』(平凡社、2008年10月)
  24. 2009年8月号:近藤瑞男/三宅三郎『かぶきを見る眼』(新樹社、昭和31年9月)
  25. 2009年9月号:田口章子/八代目坂東三津五郎『聞きかじり見かじり読みかじり』(三月書房、昭和40年9月)※2000年2月に新版
  26. 2009年10月号:藤井康雄/三宅周太郎『演劇往来』(新潮社、大正11年2月)
  27. 2009年11月号:西形節子/日本地図選集刊行委員会・人文社編集部編『嘉永慶応 江戸切絵図 全』(人文社、昭和41年3月)
  28. 2009年12月号:今岡謙太郎/河竹登志夫『作者の家 黙阿弥以後の人びと』(講談社、昭和55年8月)※最新版は岩波現代文庫(2001年12月刊行、全2冊、解説:井上ひさし)
  29. 2010年1月号:岡安辰雄/六代目尾上菊五郎『おどり』(時代社、昭和23年10月)
  30. 2010年2月号:木本公世/加賀山直三『ある女形の一生 五代目中村福助』(東京創元社、昭和34年2月)
  31. 2010年3月号:法月敏彦/西原柳雨『川柳江戸歌舞伎』(春陽堂、大正14年11月)
  32. 2010年4月号:犬丸治/巌谷槙一『僕の演劇遍路』(青蛙房、昭和51年10月)
  33. 2010年5月号:武藤純子/服部幸雄『江戸の芝居絵を読む』(講談社、1993年11月)
  34. 2010年6月号:後藤美代子/十三代目片岡仁左衛門『芝居譚』(河出書房新社、1992年10月)
  35. 2010年7月号:神山彰/千谷道雄『舞台裏の人々 裏方物語』ハヤカワ・ライブラリ(早川書房、昭和39年12月)
  36. 2010年8月号:清水可子/松井俊諭『歌舞伎家の芸』(演劇出版社、2002年10月)
  37. 2010年9月号:水田かや乃/郡司正勝『新訂 かぶき入門』現代教養文庫361(社会思想研究会出版部、昭和37年1月)※最新版は岩波現代文庫(2006年年8月刊、解説:武井協三)
  38. 2010年10月号:船曳建夫/三井高遂写真・郡司正勝編『歌舞伎名優時代 舞台写真・大正から昭和へ』(二玄社、昭和63年5月)
  39. 2010年11月号:大島幸久/戸板康二『今日の歌舞伎』(創元社、昭和27年11月)
  40. 2010年12月号:吉田弥生/今尾哲也『変身の思想 日本演劇における演技の論理 』(法政大学出版局、昭和45年6月)
  41. 2011年1月号:粟屋朋子/森鴎外・三木竹二『月草』(春陽堂、明治29年12月)※2004年6月に三木竹二『観劇偶評』(岩波文庫、解説:渡辺保)刊
  42. 2011年2月号:児玉竜一/稲垣浩『ひげとちょんまげ 生きている映画史』(毎日新聞社、昭和41年8月)※昭和56年5月に中公文庫(解説:佐藤忠男)
  43. 2011年3月号:阿部達二/戸板康二『歌舞伎輪講』小学館創造選書30(小学館、昭和55年5月)
  44. 2011年4月号:金子健/六代目尾上梅幸『女形の芸談』(演劇出版社、昭和63年11月)
  45. 2011年5月号:村上湛/折口信夫『かぶき讃』(創元社、昭和28年2月)※2004年12月に中公文庫(解説:二代目中村獅童)
  46. 2011年6月号:濱口久仁子/郡司正勝『和数考』(白水社、1997年6月)
  47. 2011年7月号:矢野誠一/戸板康二『演芸画報・人物誌』(青蛙房、昭和45年1月)
  48. 2011年8月号:阿部さとみ/堂本正樹『男色演劇史』(薔薇十字社、昭和45年4月)
  49. 2011年9月号:岩豪友樹子/葛西聖司著・菊地ひと美絵『ことばの切っ先 心にせまるセリフ』(小学館、2006年4月)
  50. 2011年10月号:長谷部浩/渡辺保『女形の運命』(紀伊國屋書店、昭和49年10月)※最新版は岩波現代文庫(2002年6月刊、解説:三浦雅士)
  51. 2011年11月号:上田由香利/諏訪春雄『心中 その詩と真実』(毎日新聞社、昭和52年3月)
  52. 2011年12月号:小林恭二/戸板康二『役者の伝説』(駸々堂出版、昭和49年12月)
  53. 2012年1月号:榎その/松田青風著・野口達二編『歌舞伎のかつら』(演劇出版社、昭和34年9月)※昭和61年9月に改訂版、1998年8月に改訂新装版
  54. 2012年2月号:池内紀/花田清輝『俳優修業』(講談社、昭和39年10月)※1991年6月に講談社文芸文庫(解説:森毅)
  55. 2012年3月号:寺田詩麻/河竹登志夫『近代演劇の展開』新NHK市民大学叢書11(日本放送出版協会、昭和57年3月)
  56. 2012年4月号:赤江瀑/河原崎国太郎『女形の道ひとすじ』(読売新聞社、昭和54年11月)
  57. 2012年5月号:矢内賢二/野口達二『歌舞伎』(文藝春秋新社、昭和40年12月)※昭和51年9月に改訂増補新装版
  58. 2012年6月号:朝倉摂/河竹登志夫監修・林嘉吉写真『歌舞伎舞踊劇 道成寺』(講談社、昭和50年11月)
  59. 2012年7月号:織田紘二/安部豊編『魁玉夜話 歌舞伎の型』(文谷書房、昭和25年3月)※昭和34年6月に学風書院より再刊
  60. 2012年8月号:加納幸和/田口章子編『今尾哲也先生と読む『芸十夜』』(雄山閣、2010年10月)
  61. 2012年9月号:石山俊彦/渡辺保『千本桜 花のない神話』(東京書籍、1990年10月)
  62. 2012年10月号:内山美樹子/祐田善雄校注『日本古典文学大系99 文楽浄瑠璃集』(岩波書店、昭和40年4月)※菅原伝授手習鑑、義経千本桜、一谷嫩軍記、妹背山婦女庭訓、艶容女舞衣、摂州合邦辻、伊賀越道中双六、絵本太功記
  63. 2012年11月号:菊地ひと美/田口章子『江戸時代の歌舞伎役者』(雄山閣出版、1998年9月)※2002年12月に中公文庫(解説:諏訪春雄)
  64. 2012年12月号:鈴木英一/須田敦夫『日本劇場史の研究』(相模書房、昭和32年5月)
  65. 2013年1月号:生島淳/市川猿之助『演者の目』(朝日新聞社、昭和51年3月)
  66. 2013年2月号:大西秀紀/山口廣一企画・編集『「幕間」別冊 大阪の延若』(和敬書店、昭和26年5月)
  67. 2013年3月号:亀和田武/服部幸雄文・一ノ関圭絵『絵本夢の江戸歌舞伎』(岩波書店、2001年4月)
  68. 2013年4月号:齊藤千恵/赤穂市総務部市史編さん室編集『忠臣蔵』全7巻(兵庫県赤穂市)※第1巻は1989年3月刊、第7巻は未刊(2013年7月時点)
  69. 2013年5月号:埋忠美沙/河竹繁俊『河竹黙阿弥』(演芸珍書刊行会、大正3年12月)
  70. 2013年6月号:神田由築/喜多川守貞著、朝倉治彦・柏川修一校訂編集『守貞謾稿』全5巻(東京堂出版)※岩波文庫で『近世風俗誌』全5巻(宇佐美英機校訂)として刊行
  71. 2013年7月号:津川安男/服部幸雄、国立劇場芸能調査室編『〈歌舞伎の文献・3〉戯塲訓蒙図彙』(国立劇場調査養成部・芸能調査室、昭和44年3月→2001年3月に改訂新版発行)
  72. 2013年8月号:赤坂治績/犬丸治『「菅原伝授手習鑑」精読 歌舞伎と天皇』(岩波現代文庫、2012年4月)

    ※2013年9月より「家で楽しむ歌舞伎 この一冊」に。

  73. 2013年9月号:金子健/渥美清太郎著『歌舞伎狂言往来』(歌舞伎座出版部、昭和2年6月)
  74. 2013年10月号:葛西聖司/望月太意之助著『歌舞伎の下座音楽』(演劇出版社、1997年8月)※昭和50年1月刊『歌舞伎下座音楽』の復刊
  75. 2013年11月号:阿部さとみ/尾上松緑著『踊りの心』(毎日新聞社、昭和46年10月)
  76. 2013年12月号:児玉竜一/武智鉄二著『かりの翅』(學藝書林、昭和44年2月)※巻末に堂本正樹「かりの翅の輝き」
  77. 2014年1月号:広瀬依子/松島まり乃『歌舞伎修業 片岡愛之助の青春』生活人新書034(日本放送出版協会、2002年7月)
  78. 2014年2月号:竹内久美子/中村勘三郎著『十八代勘三郎』(小学館、2013年3月)※『襲名十八代』(2005年5刊)を改題、加筆修正。
  79. 2014年3月号:金子健/中村歌右衛門・山川静夫著『歌右衛門の六十年―ひとつの昭和歌舞伎史―』岩波新書・黄328(岩波書店、昭和61年1月)
  80. 2014年4月号:葛西聖司/鈴木秀次郎著『常磐津林中』(IBC開発センター、昭和47年8月)
  81. 2014年5月号:阿部さとみ/郡司正勝・榎本由喜雄・柴崎四郎編『道成寺』(小学館、昭和57年11月)
  82. 2014年6月号:児玉竜一/小宮麒一編『配役総覧』(私家版)
  83. 2014年7月号:広瀬依子/水落潔著『上方歌舞伎』(東京書籍、1990年9月)
  84. 2014年8月号:安田文吉/安田徳子著『地方芝居・地芝居研究 名古屋とその周辺』(おうふう、2009年2月)
  85. 2014年9月号:葛西聖司/『三田村鳶魚全集 第十八巻 芝居と史実 芝居の裏おもて』(中央公論社、昭和51年5月)
  86. 2014年10月号:阿部さとみ/天津乙女著『踊りごよみ』(宝塚歌劇団出版部、昭和34年4月)
  87. 2014年11月号:児玉竜一/深瀬芳流著『舞台九十年 実川八百悟郎藝談』(高知新聞社、昭和36年5月)
  88. 2014年12月号:金子健/初代田中凉月・小林責著、国立劇場調査養成部芸能調査室編『〈歌舞伎資料選書・8〉田中凉月歌舞伎囃子一代記』(国立芸術文化振興会、1992年11月)
  89. 2015年1月号:広瀬依子/『常磐津一巴太夫素語り 歌舞伎一期一会』(NTT出版)
  90. 2015年2月号:日置貴之/中村哲郎著『西洋人の歌舞伎発見』(劇書房、昭和57年4月)
  91. 2015年3月号:葛西聖司/金森和子編『歌舞伎衣裳附帳』(松竹衣裳株式会社、1991年4月)
  92. 2015年4月号:阿部さとみ/服部幸雄著『変化論 歌舞伎の精神史』平凡社選書41(平凡社、昭和50年6月)
  93. 2015年5月号:金子健/川尻清潭著『〈歌舞伎資料選書・2〉芝居おぼえ帳』(国立芸能調査養成部・芸能調査室、昭和53年3月)
  94. 2015年6月号:児玉竜一/市川楽三郎著『市川楽三郎手記』(私家版、昭和59年1月)
  95. 2015年7月号:広瀬依子/森彰英著『武智鉄二という藝術 あまりにもコンテンポラリーな』(水曜社、2011年1月)
  96. 2015年8月号:細谷朋子/稀音家義丸著『長唄囈語』(邦楽の友社、2015年3月)
  97. 2015年9月号:葛西聖司/岡本綺堂著『綺堂芝居ばなし』(旺文社文庫、昭和54年1月)
  98. 2015年10月号:阿部さとみ/町田孝子『舞踊の歩み百年』(桜楓社、昭和43年12月)
  99. 2015年11月号:金子健/「京都・南座の記録」出版委員会編『京都・南座の記録―やわらかい劇場論』(六燿社、1990年12月)
  100. 2015年12月号:児玉竜一/坪内逍遥著『少年時に観た歌舞伎の追憶』(日本演芸合資会社出版部、大正9年12月)



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『演劇出版社30年』(演劇出版社、昭和54年10月25日)の函と本体。演劇出版社30年、すなわち第二次『演劇界』30年を記念して、利倉幸一が編んだ豆本。全103ページ。「非売品」となっているけれども、残部が希望者に頒布されている。

【目次】

  • 扉絵:坪内節太郎
  • カラー口絵:玉三郎のお染/歌右衛門の夕霧/松緑の暫/菊五郎の与三郎/海老蔵の松王/勘三郎の熊谷/梅幸の揚巻/猿之助の忠信
  • 憚乍口上
    • 北條秀司「よくやった」
    • 吉川義雄「わが虚実皮膜の間」
    • 土方正巳「「演劇界」と私」
    • 戸板康二「ぼくの中の「演劇界」」
    • 郡司正勝「楽しき哉「演劇界」」
    • 中村歌右衛門「「演劇界」と共に」
  • 同人忌辰録
    • 利倉幸一「演劇出版社30年物語」
    • 播本脩三「三人から八人へ」
    • 梅村豊「続けること」
    • 今村富士子「ひと言お祝いを」
    • 有吉佐和子「私にとっては育ての親」
    • 野口達二「五月人形」
    • 大笹吉雄「そして現在」
    • 藤田洋「あっという間に七十年」

戸板康二がここに収録されている「ぼくの中の「演劇界」」を書いたのは、喉頭がんの手術をして7月末に慶應病院を退院し、自宅で療養をしている時期。

ぼくの中の「演劇界」   戸板康二
 「演劇界」が利倉さんによって再発足してから、三十年の月日が流れた。まったく夢のようだ。
 日本演劇社で、いわゆる第一次「演劇界」を渥美清太郎さんを手伝って、こしらえていた経験があるので、毎号の企画のプラン会議の様子まで、一般の人にくらべると、よくわかっている。
 戦後とはいえ、築地の共立ビルの二階の編集室で作った雑誌は、原始的なものだった。バックナンバーを見ると、一面なつかしくはあるが、何ともきまりが悪い。
 それにくらべると、いまの「演劇界」は天と地の差がある。第一カラー写真なんか、昔はなかった。歌舞伎の雑誌も贅沢になったものだ。
 「演劇界」三十年のスタッフを思い返し、ぼくの書いた原稿だの、対談した先輩だののことを考えると、この雑誌の歴史が、ぼくの中で、かなりのウェイトを持っているのに気がつくのである。

と、例によって、ひと筆書きふうのさらっと衒いのない文章だけれども、戸板さんの戦中戦後の来し方を思うと、いろいろと味わい深い。大病の年の暮れ、昭和54年12月14日に「寒燈や生きてことしの誕生日」と詠んで年が明けて、昭和55年の1年間、戸板康二は『演劇界』で「思い出の劇場」の連載をしたのだった。第1回は「本郷座」。と、この「思い出の劇場」全12回は、戸板康二の珠玉のエッセイのひとつと思う。


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『演劇出版社30年』に挟み込まれている挨拶文。発行日の昭和54年10月25日は「復刊第一号発行の日」。